照手姫ものがたり(3)

 

土車に乗せられた満重は、餓鬼阿弥の姿となっておりました。

道行く人々も、仏の供養のためにと、手を貸して土車を曳いてくれました。

満重を乗せた土車は東海道を上り、やがて青墓のよろず屋の前にさしかかりました。

 

(土車を曳く照手姫)
「小栗判官と照手姫」 パンフレットより


照手姫は餓鬼阿弥を見て、満重とは知らずに、満重の供養の為にと土車を曳くことを思いたちました。
よろず屋には、三日間だけ暇をもらったのです。

それ以上の暇はもらうことは出来ませんでしたが、照手姫は赤い袴をはき、巫女の姿になり、手に笹の葉を持ちました。
そして、満重のことを思いながら一生懸命土車を曳いたのです。

土車は青墓から近江・大津・関寺とたどり、玉屋の門の前まで来ました。

そこで、照手姫は餓鬼阿弥とともに、しんみりと一夜を過ごしました。
三日間の暇の終わらないうちに、よろず屋に戻らなければなりません・・・

照手姫は後ろ髪ひかれる思いで、満重ともわからない餓鬼阿弥に別れを告げて行きました・・・

 

餓鬼阿弥を乗せた土車は、なおも京・大坂を通り、熊野を目指して進んで行きました。
山道に近づき車道がなくなりました。
そこからは山伏にかつがれて山道を行き、とうとう目的地に着きました。

満重はそこで七色に変わる温泉に四十九日間浸かりました。
そして、元の身体に戻ることが出来ました。

月日は流れ、照手姫のいる青墓にもいつしか春が巡ってきました。
そんなある日、よろず屋の家に大変立派なお侍が訪れました。
それは・・・それは、小栗判官満重でした。

満重はあれから都の将軍さまにお目にかかり、何もかもお話しました。
そして、将軍さまのお力を借りて、小栗城を立派に立て直すことが出来たのです。
その後、命の恩人である美しい照手姫を、あちらこちらと探し歩いていたのです。

桜の花の散る下で、二人はやっとの思いで巡り会えることが出来ました。
手を取り合って喜び、今までのことを話し合い、すべてが明らかになりました。

満重と照手姫は、それからは死ぬまで変わることのない愛に結ばれて幸せに暮らしました。
つらかった過去を忘れることなく、いつまでも観音さまを大切にしたということです。

朝日新聞・地方版より

 

 

小栗判官のお墓

照手姫のお墓

 

照手姫ものがたり(1)
照手姫ものがたり(2)
照手姫草庵の長生院
”遊行かぶき” 観劇

TOP


[PR]《フレッツ光》+無料パソコン:今なら無料でパソコンGET!