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法寿寺の八幡堂伝説

 

増穂町の竹重という所に法寿寺というお寺があって いまは日蓮宗ですがもとは真言宗で 「つきよね」 にある明王寺の別院だったということです

そのお寺の境内に八幡堂というお堂があって これは大井源三郎信豊公というえらい人の 霊夢のお告げで祀られたという事です

信豊公という人は 大井信繁公の子供で 信繁公というのは あの信玄公の弟なのです

あるとき 信豊公が平林の大垈というところへ行ったとき 道に迷ってしまい そこで村の人に
「里に下るのにはどの道を行けばよいか」
と聞きますと

「ああ 里に下るじゃあ あっちへ行けばいいだよ」
と どうしたわけか村の人は反対の道を教えてしまったのです

信豊公は教えられたとおりの道を行ったところ だんだん山の中に深く入ってしまってもう前にも進めなく 後ろへも戻れないようになってしまいました
くたくたにへたばってしまった所へ ふだんから信豊公に はむかう気持ちをもっていた武士が来て 信豊公を殺してしまいました
そのとき信豊公はかわいそうにまだ十六歳だったそうです

そのころ小林地区の地頭は 小林対馬守という人で 武田家とは遠い親類すじに当たっていたそうですが 信豊公が思いがけない災いで死んだことを知って哀れに思ったのでしょうか その亡骸をこの法寿寺に葬って墓を立て 冥福を祈ったということです

その後あるときの九月二十五日の夜に 対馬守の夢の中に信豊公が現れて
「あの寺に八幡堂を建てて祀るように」
というお告げがあったそうです
それでさっそく対馬守は八幡堂を建てて祀ったのが 今の八幡堂だといいます

信豊公が死んだのが永禄十年九月二十五日で 対馬守の夢に出てきたのも九月の二十五日ですから これも何かの因縁というものでしょう

 

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